Microsoft Office Specialist(MOS)資格は、Microsoft Office製品のスキルを証明する国際的な資格であり、多くの企業や教育機関で高く評価されています。MOS資格にはいくつかのバージョンがあり、現在の主流は「Microsoft 365」と「Office 2019」です。どちらの資格を取得すべきか迷っている方のために、この2つのバージョンの違いや特徴を詳しく解説します。
1. 試験対象となるOffice製品の違い
Microsoft 365
Microsoft 365は、クラウドベースのサービスを含む最新のOfficeスイートです。常に最新の機能やアップデートが提供されるため、試験内容もこれに応じて変化します。Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの主要アプリケーションに加え、TeamsやOneDriveなどのクラウド機能の知識も重要です。
Office 2019
Office 2019は、買い切り型の永続ライセンス版Officeです。特定の機能セットで固定されており、新しいアップデートや機能は追加されません。そのため、試験範囲は安定しており、試験内容も固定化されています。
2. 試験の内容やフォーカスの違い
まず気になるであろう「試験範囲がどう変わったのか」についてお伝えします。
以下の表は、MOS365の出題範囲について、MOS2019からの追加分だけを整理したものです。
科目 | セクション | プロジェクト | 追加された項目(タスク) |
---|---|---|---|
Excelアソシエイト | ワークシートやブックの管理 | ブックにデータをインポートする | ・オンラインソースからデータをインポートする |
共同作業と配布のためにブックを準備する | ・コメントとメモを管理 ・ブック内の問題を修正する | ||
セルやセル範囲のデータの管理 | シートのデータを操作する | ・RANDBETWEEN()関数とSEQENCE()関数を使用して数値データを生成 | |
セルやセル範囲の書式を設定する | ・複数のシートをグループ化して書式設定 | ||
名前付き範囲を定義する | ・名前付き範囲を参照 | ||
数式や関数を使用した演算の実行 | 参照を追加する | ・数式の中で構造化参照を使用 | |
データを計算する、加工する | ・SORT()関数を使用してデータを並べ替え ・UNIQUE()関数を使用して一意の値を返す | ||
Wordアソシエイト | 文書の管理 | 文書を保存する、共有する | ・別のファイル形式で文書をエクスポート ・組み込み文書プロパティを変更 |
文字列や段落の書式を設定する | ・組み込みの文字の段落スタイルを適用 | ||
表やリストの管理 | リストを作成する、変更する | ・開始番号を振り直す、続けて振る | |
図やテキストボックスを挿入する | ・アイコンを挿入 | ||
文書の共同作業の管理 | コメントを追加する、管理する | ・コメントを解決 | |
変更履歴を管理する | ・変更履歴をロック、ロックを解除 | ||
Outlookアソシエイト | – | – | 未定 |
PowerPointアソシエイト | プレゼンテーションの管理 | プレエンテーションのオプションや表示を変更する | ・プレゼンテーションの組み込みプロパティを変更 |
プレゼンテーションの印刷設定を行う | ・スライドを印刷 | ||
共同作業と配布のためにプレゼンテーションを準備する | ・プレゼンテーションの問題を修正 | ||
スライドの管理 | スライドを並べ替える、グループ化する | ・セクションの順番を変更 | |
テキスト、図形、画像の挿入と書式設定 | テキストを書式設定する | ・テキストに書式設定やスタイルを適用 | |
グラフィック要素を挿入する、書式設定する | ・グラフィック要素を挿入 ● グラフィック要素にテキストを追加 | ||
スライド上のコンテンツを並び替える、配置する、グループ化する | ● スライド上のコンテンツを並べ替え | ||
表、グラフ、SmartArt、3Dモデル、メディアの挿入 | SmartArtを挿入する、書式設定する | ● SmartArtを箇条書きに変換 | |
3Dモデルを挿入する、変更する | ● 3Dモデルの見た目を変更 | ||
画面切り替えやアニメーションの適用 | 画面切り替えを適用する、設定する | ● 画面切り替えのタイミングを設定 | |
スライドのコンテンツにアニメーションを設定する | ● アニメーションのタイミングを設定 | ||
Excelエキスパート | ブックのオプションと設定の管理 | 共同作業のためにブックを準備する | ● コメントを管理 |
高度な機能を使用した数式およびマクロの作成 | 関数で論理演算を行う | ● LET()関数を使って論理演算 | |
関数を使用してデータを検索する | ● XLOOKUP()関数を使ってデータを検索 | ||
データ分析を行う | ● FILTER()関数を使ってデータを抽出 ● SORTBY()関数を使ってデータを並び替え | ||
Wordエキスパート | ユーザー設定のドキュメント要素の作成 | 文献目録を作成する、管理する | ● 資料文献を作成、変更 ● 引用文献を挿入 ● 文献目録を挿入 |
追加された内容は、試験でも出題される可能性が高いです。
新しい範囲であることを意識して、他よりもやや重点的に学習すると、合格しやすくなるでしょう。
3. どちらを選ぶべきか?
試験の概要についてはMOS2019までのものと、大きくは違いません。
試験代も同じです。
- Microsoft 365を選ぶべき人
- これから学習をはじめる人
- 最新の技術やコラボレーションツールを学びたい人
- 今後、クラウド環境での業務が多い職場で働く予定の人
- Office 2019を選ぶべき人
- デスクトップアプリケーションを中心に学びたい人
- 特定の業務で固定バージョンのOfficeをすでに使用している人
- 試験内容の変動が少ない環境を求める人
4. 就職やキャリアにおける価値の違い
どちらのMOS資格も、履歴書や職務経歴書に記載することでアピールポイントになります。ただし、業界や職場の環境に応じて、適切なバージョンを選ぶことでさらに効果的なアピールが可能です。
- Microsoft 365の価値
クラウド機能や最新技術を重視する企業では、Microsoft 365の資格が高く評価される傾向があります。特にIT業界やグローバルな環境での活用が期待される場合に有利です。 - Office 2019の価値
安定したスキルセットを持つ証明として、デスクトップ環境を重視する企業や職種で評価されやすいです。例えば、中小企業や教育機関で使用されることが多いです。
5. 学習や試験対策
Excel、Word、PowerPoint等、対象のソフトを必ず受験するバージョンで実際に操作しながら、学習しましょう。
動画や本を見ただけでは、できた気になるだけで何も身につきません。
お持ちのパソコンに同じバージョンの準備がない場合は、パソコン教室を活用するのがおすすめです。
まとめ:自分に合ったMOS資格を選ぼう
Microsoft 365とOffice 2019、それぞれのMOS資格には特徴とメリットがあります。Microsoft 365は最新技術やクラウド機能を活用する力を証明でき、Office 2019は安定したデスクトップスキルを示す資格です。どちらを選ぶべきかは、自分の目指すキャリアや学習環境に応じて判断しましょう。
私たちのパソコン教室では、Microsoft 365およびOffice 2019の両方に対応した資格取得講座を提供しています。受験対策から実践的なスキルの習得まで、丁寧にサポートします。
テキストやYouTube(場合によっては有料講座も)では、問題の解き方こそ教えてくれますが、「実際に現場でどう使うのか」までは解説してくれません。
そのため、自分で利用シーンを考えながら学習進めることが、実務で活かす上で重要です。
せっかく勉強するのですから、実務で活かせるスキルを身に付けて資格試験に合格しましょう!